目次

1. 糖尿病とは1, 2

糖尿病とは、体内中に取り込まれたブドウ糖 (糖) がうまく利用されず、血液中のブドウ糖濃度が高い状態を指します。本来はインスリンと言う膵臓から分泌されるホルモンが、血液中のブドウ糖の濃度を調整していますが、このインスリンの分泌量の低下やインスリン自体の効果の低下などで、血液中のブドウ糖が上手く細胞に取り込まれなくなり、血液中に多く残ってしまうために、血液中のブドウ糖濃度が高い状態が維持されるというわけです。
糖尿病の主な症状としては、

  • ・喉が渇く
  • ・尿の回数が減る
  • ・体重が減る
  • ・疲れやすくなる 等

といった症状が現れやすくなります。 そのため、このような症状に心当たりがある方は、糖尿病に注意した方がいいかもしれません。
血中のブドウ糖濃度が高い状態が長く続いてしまうと、いろいろな部分で合併症を引き起こす可能性があり、生活の質が下がってしまいます。よって可能な限り予防、治療を行った方が良いです。
糖尿病を予防、治療するためには、血糖値をコントロールする必要があります。このコントロールする方法は主に「食事療法」、「運動療法」、「薬物療法」の3種類あります。今回はこの中の「食事療法」について記載します。

2.糖尿病に対する食事療法のポイント2, 3, 4, 5, 6, 7

食事療法と言っても、いろいろなやり方があります。

2.1. エネルギー摂取量を調整する

初めに「エネルギー量を調整する」ことです。エネルギーを多く取ってしまうと、インスリンでの血糖値調整が追い付かなくなり、効果が下がってしまいます。さらに糖尿病の他にも、肥満の原因にもつながるので、エネルギーの取りすぎには注意しましょう。1日に必要なエネルギー量は年齢や性別、身長、体重などによって異なります。おおよその適正エネルギーの計算は下記に記載しますので、ご確認ください。

適正エネルギー量=標準体重(kg)×身体活動量(kcal)

・身体活動量の目安
労作 デスクワークの人 立ち仕事が多い人 力仕事が多い人
kcal 25~30 30~35 35~

引用:糖尿病栄養食事指導マニュアルの記載を一部改変

2.2.栄養バランスのよい食事をとる

次に「栄養バランスのよい食事をとる」です。1日のエネルギー摂取量を守っていても、摂取している栄養バランスが偏ってしまうと血糖値が上がってしまいます。そのため血糖値をコントロールするためにも、炭水化物、タンパク質、脂質、食物繊維、ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取しましょう。摂取比率の目安は、炭水化物を約40~60%、脂質を約20~30%、タンパク質を約20%になります。

2.3.1日3食を規則的に摂取する

次に「1日3食を規則的に摂取する」です。目安としては5~6時間おきに食事をすることが望ましいとされています。理由として、インスリンを分泌する膵臓の負担を軽くするといった理由が挙げられます。今では日本でも欧米などの海外の料理を食べることが出来ます。しかし、日本人は欧米人と比較して、インスリンを分泌する能力が低く、欧米食に含まれる大量に糖を1度に摂取してしまうと、対応できずに糖尿病になってしまう場合があります。そのため、食事内容を考え、食事の回数を増やし、時間間隔を空けることによって、膵臓の負担を軽減することが重要になってきます。しかし、食事回数を4回、5回とかに増やしすぎると、1日の適正エネルギー量を超えてしまいやすいので、食事内容を考えながら回数を決めることが必要です。

2.4.食物繊維を多く摂取する

次に「食物繊維を多く摂取する」です。食物繊維はお通じをよくする働きだけでなく、糖分の消化・吸収を緩やかにする働きもあり、血糖値の上昇を抑えてくれます。また食物繊維は満腹感も得られるため、食べ過ぎてしまう人にも効果的です。しかし、食物繊維をとりすぎてしまうとビタミンやミネラルと言った栄養素の吸収を抑えてしまうので注意が必要です。1日に20g程度を目標に摂取しましょう。

2.5.間食を控える

次に「不要な間食を控える」です。これは間食が悪いと言っているわけではありません。例えば、「3時のおやつ」と言うのを聞いたことがあると思います。夕方3時に200kcal程度の間食をすることは、エネルギー補給ができ、リラックス効果もあるためとても効果的です。ここで記載している間食は、夜中に食べるケーキのような、必要以上にエネルギーを摂取する間食です。間食は心の健康的にはとても重要なのですが、節度をもって摂取しましょう。

2.6.お酒を控える

最後は「お酒を控える」です。お酒自体は血糖値に影響は少ないのですが、アルコールには食欲を増進させる作用があり、お酒のおつまみは高エネルギーの物が多いです。お酒と一緒におつまみを食べ過ぎてしまうと血糖値が高くなってしまいます。そのため、高エネルギーのおつまみを控えるためにも、お酒を飲むのを控えた方が良いと思います。

3.CANDを使った食生活の振り返り8, 9

食事療法を行う際、はじめに自分自身の食生活を振り返ることがとても重要になると思います。しかし、すぐに思いつく振り返り方法である「食事記録法」 (食べた食事を記録用紙に細かく記録する) や「24時間食事思い出し法」 (1日前の食事内容を思い出して記録する) の場合、記録することがとても大変です。そこでCAND (食べた食事をマークシートに記入) を用いて振り返ることはどうでしょうか。CANDは冊子を見ながらマークシートに記入していく食事記録法です。量に関しても具体的な数値は用いずに、自分自身の「手」を尺度として用いるため、量を計るのも簡単です。詳しくは下のリンクからご覧ください。

詳しくはこちら

4.まとめ

糖尿病と言うのは、人々の生活の乱れからくる病気で、糖尿病を予防、改善するためには、自分自身の生活習慣を振り返り、改善することがとても重要になると考えます。生活習慣を振り返るにあたり、しっかりと振り返ろうとすると、めんどくさくなり長続きしません。なので、最初は「昨日少し食べすぎちゃったな」みたいな、簡単に振り返ることから始めることが良いと思います。最初は簡単に、慣れてきたら徐々にしっかりと振り返り、長い目で予防、改善していければと思います。

5.脚注