目次

1.肥満とは1, 2

肥満とは、体重が重いだけではなく、体の中に体脂肪が蓄積した状態のことを言います。肥満度の判定には、国際的に用いられているBMI (Body Mass Index)を基準としています。男女とも、BMIの標準値は22.0ですが、この値は統計上、肥満とかかわりが強い病気に最もかかりにくい値とされています。

BMI(kg/m2) 判定 WHO基準
BMI<18.5 低体重 Underweight
18.5≦BMI<25.0 普通体重 Normal range
25.0≦BMI<30.0 肥満 (1度) Pro-obese
30.0≦BMI<35.0 肥満 (2度) Obese classⅠ
35.0≦BMI<40.0 肥満 (3度) Obese classⅡ
40.0≦BMI 肥満 (4度) Obese classⅢ

表1. 肥満度分類
引用:日本肥満学会 肥満度分類

・BMI計算方法
  • 計算式:[BMI (kg/m2) ] = [体重 (kg) ] ÷ [身長 (m)2 ]
  • 身長170cm、体重80kgのAさんの場合、
  • 80kg ÷ (1.7m ×1.7m) ≒ 27.68
  • Aさんは「肥満 (1度) 」になる

また、肥満は糖尿病や脂質異常症、高血圧症などの生活習慣病を含めた、多くの病気の原因になります。そのため、健康を維持するためにはできるだけ肥満にならない方が良いと考えられます。

2.肥満の主な原因は3, 4, 5, 6 ,7 ,8

肥満の主な原因は、食べ過ぎと運動不足です。つまり、人が活動する際に消費するエネルギーよりも、食べ物から摂取するエネルギーが上回ると、脂肪として体に蓄えられ肥満の原因になります。また、肥満になると、体のいたるところに負担がかかります。骨や関節など体を支える部位への負担が大きくなり、腰痛や関節障害、骨折などの身体障害に繋がります。

食べ過ぎの主な原因として、
・基礎代謝の低下
・ストレス
の2種類が挙げられます。

基礎代謝と言うのは、人が生活していく中で消費されるエネルギーのことです。年を取っていくと、基礎代謝が低下していき、消費エネルギー量が少なくなります。そのため、若いころは基礎代謝が高く、消費されていたエネルギーが、年を重ねるごとに消費されなくなり、体に溜まっていきます。

ストレスに関しては、ストレスの影響で自律神経が不安定になることが食べ過ぎの原因です。
自立神経と言うのは、交感神経 (力を蓄えようとする) と副交感神経 (リラックスする) のバランスで成り立っています。ストレスを受けると、それに対抗するために交感神経が優位になり、食欲を増すホルモン (コルチゾール) が分泌され食欲が増します。この影響により肥満になりやすくなります。

3.現代のストレスによる肥満9, 10, 11, 12

2020年から流行している感染症の影響で、多くの人が生活習慣の変化を余儀なくされました。

引用:「新型コロナウイルス感染症に関する世論調査」|NHK

2020年末に行われたNHKの世論調査では、感染症の影響で「ストレスが増えた」と回答した人が65%以上に上っています。この結果より、ストレスが原因で、肥満になりやすい人が増えていると考えられます。

4.食事でのストレス改善13, 14, 15, 16, 17

人がストレスを受けると、以下のような症状が現れます。
・気分が落ち込む
・趣味などが楽しめない
・イライラする
・疲れやすい
・集中力や思考力が低下する など

これらのストレス解消法として、「趣味を楽しむ」や「外出する」と言ったことが挙げられると思いますが、これらの解消法は、時として実行できない場合があります。2023年2月現在では、緩和されつつありますが、新型感染症の影響で気軽に外出することがまだまだ難しい状態です。そのため、簡単に実行しやすいストレス解消法が求められます。
その1つとして、食事改善によるストレス改善が挙げられます。食事は、生活を行う上で必ず必要になることです。日常的に行う食事でのストレス改善が、実行のしやすさの観点から、効果的であると考えられます。
この章では「特定の栄養素を意識して摂取」と「楽しく食事をする」の2つのストレス解消法について紹介します

①「特定の栄養素を意識して摂取」に関しては、ストレスで不足しやすい以下の栄養素を意識して摂取することです。

栄養素 不足したときの効果 含まれている食品
タンパク質 ・疲れやすい
・脳の働き低下
肉類、魚類、乳製品、大豆製品
ビタミンC 抗酸化作用低下 ジャガイモ、サツマイモ、果物
ビタミンB 精神状態悪化 豚肉、牛乳、あさり
カルシウム イライラする 小魚、大豆製品
マグネシウム カルシウムの働きが悪くなる 種実類、大豆、海藻類
ビタミンE 自律神経の調整が難しくなる 穀類、緑黄色野菜

・タンパク質

ストレスがかかると、ホルモンが盛んに分解され、タンパク質も分解が促進されます。タンパク質が足りなくなると、疲れやすくなったり、脳の働きが低下したりします。良質なタンパク質が多く含まれている代表的な食品は、肉類、魚介類、乳製品、大豆製品などが挙げられます。

・ビタミンC

ビタミンCは抗酸化作用があり、免疫力を強化することが期待されています。精神的なストレスがかかると不足しやすいです。ジャガイモやサツマイモ、果物に含まれています。

・ビタミンB群

ビタミンBが不足すると、神経系に支障が出て精神状態が悪くなりやすいです。豚肉や牛乳、あさりなどに含まれています。

・カルシウム

カルシウムが不足すると、イライラの原因になります。カルシウムは、小魚や大豆製品などに含まれています。

・マグネシウム

マグネシウムはカルシウムの働きを調整する作用があります。また、ストレスをためると吸収しにくくなり不足しやすい栄養素です。種実類、大豆、海藻類に含まれています。

・ビタミンE

ビタミンEは自律神経の調整に役立つ栄養素です。穀類や緑黄色野菜などに含まれています。

②楽しい食事を心がける

食事と言うのは日常生活をする上で、必ず行うことになります。心のバランスが崩れると、食事のバランスも崩れることがあります。楽しい食事を実践することによって、気持ちがリラックスできる時間を作り、ストレスを徐々に減らしていくことが生活する上で重要になってきます。

5.まとめ

現代社会では、ストレスと向き合って生活していくことが避けられません。このコラムで紹介した食事改善は、ストレス緩和の1つです。しかし、無理に意識してしまうとストレスになる場合もあり、可能な範囲で実践することが重要です。食事と言うのは、自分の生活をよりよくするための行為でもあります。そのため、我慢するのではなく、自分のプラスになると考え、前向きに食事改善を行っていくことが重要です。

6.脚注