目次

1.現在の日本の健康事情

日本では現在、医療費を含め「健康」についてとても問題になっています。厚生労働省の調査によると国民医療費は年々増加しており約30兆円にまでなっています1。年齢別の有訴者率や受診率を見てみると、年齢が上がっていくにつれて割合が高くなっており、年々その割合を増やしています2

また、日本人の死亡率の上位の多くが、生活習慣病と言われている生活習慣の乱れから起こる病気で占められており3,4、人々の健康に対する意識低下が伺えます。この健康意識の低下を改善することが重要だと思います。

2.生活習慣改善の難しさ

健康意識を維持、向上させ生活習慣を改善する方法として、食生活を見直すことや運動するなど、様々な方法が考えられます。しかし、実際にこれらの方法を行うにしてもとてもハードルが高いです。下記に一例を挙げます。

例えば、野菜があまり好きではない人が野菜を無理して食べ続けることは簡単ではありません。忙しい人が睡眠時間を減らしてまで運動することは好ましくありません。食べることが好きな人が食べる量を減らすことも難しいと思います。

このように、自分に負荷をかけてまでやる場合が多くなると思います。また、このような場合だと短期間は続いたとしても長期間は続きにくいです。さらに、このような方法を続けていると精神的、身体的な負荷が大きくかかり、精神病にかかったり体調を壊したりなど、返って逆効果になることが大半です。その為、自分一人で改善することは難しいことだと思います。

3.栄養指導とは5,6

では、どうやって生活習慣を改善するのでしょうか。
効率よく生活習慣を改善する1つの方法として「栄養士」や「管理栄養士」による「栄養指導」というものがあります。

これは、食事や栄養に関する専門知識を持った専門家に生活習慣改善の「手伝い」をしてもらうというものです。あくまでも「手伝い」です。なぜ手伝いかというと、生活習慣改善で一番大事なことは、改善する本人の気持ちだからです。人間は他人から命令されるとやる気がなくなったり、自分の意志と反していることだと反発したりします。栄養指導も例にもれず、栄養士や管理栄養士から自分の意志と反していることを命令されるとやらなくなります。その為、「栄養指導」は対象者に寄り添うことが重要になります。

具体的には何をするかというと、「食習慣や生活習慣の改善提案」、「対象者に合わせた食事療法の提案」、「料理方法や献立等の提案」等があります。

3.1.食習慣や生活習慣の改善提案

食習慣や生活習慣の改善提案とは、現状の食生活や生活習慣のヒアリングを行い、専門知識を持った栄養士や管理栄養士が現状の問題を洗い出し、改善案を提案することです。

3.2.対象者に合わせた食事療法の提案

対象者に合わせた食事療法の提案とは、現状の食生活や生活習慣のヒアリングを行い、その人ごとにあった栄養バランスを考え提案する事です。

3.3.料理方法や献立等の提案

料理方法や献立等の提案とは、現状の食生活や生活習慣のヒアリングを行い、その人に会った料理方法や献立等を提案することです。

これらの栄養指導に共通することは、対象者のヒアリングを行うことになります。ヒアリングをすることにより、より詳細に対象者のことを知ることができ、その人に会ったものを提案することが可能です。対象者はこういった知識もあまりなく、自分に合った改善提案が分からない場合が多いと思います。自分に合った改善案が見つかれば、精神や身体に負担が少なく生活習慣の改善につながると思います。

また、対象者の悩みを聞き、改善案を一緒に考えることは対象者の信頼を得る行為に繋がります。信頼を得られれば、改善案等のことを聞いてもらいやすくなり、生活習慣改善に繋がりやすくなります。

栄養指導は人とのやりとりがメインになると思います。栄養士や管理栄養士が一方的に指導したところで人との距離が離れていき指導がうまくいきません。その為、いかに人との距離を近づけ信頼関係を築けるかが重要になると思います。

4.栄養指導の歴史7

現在では、昔にはあまりない生活習慣病の対策として広く行われている栄養指導ですが、栄養指導はいつから始まったのでしょうか。

4.1.栄養指導の始まり

人類の文明発達の多くが戦争 (争い) と密接に絡んで発達しています。栄養指導もこの例にもれず戦争がきっかけで始まりました。

栄養指導の始まりは、明治時代に流行した脚気 (かっけ) と言われています。現在ではビタミンB1不足が原因ということは知られていますが、当時は原因が解明されておらず、「伝染病」として考えられていました。また日露戦争 (1904年~1905年) では陸軍で25万人も脚気で苦しんでいました。その惨状を改善すべく小麦を使った比較実験が行われ食事改善が本格的に行われました。これが栄養指導の始まりだと言われています。

4.2.栄養研究所設立

その後、アメリカで栄養学の研究していた佐伯博士が1911年頃、日本に帰国し食生活改善の重要性を唱え「栄養研究所」を設立しました。また佐伯博士は淘洗(米をとぎ洗い)による栄養損失を懸念し、雑穀食の推奨や、今では当たり前の学校給食の実施にも貢献しました。

4.3.栄養士誕生

佐伯博士は1925年に栄養学校を設立し栄養指導者の育成を開始しました。その栄養学校の第一期卒業生「栄養技手」という称号が与えられ、さまざまなところで働き始めました。この人たちが「栄養士」の第一人者であり、ここから本格的に栄養指導が始まりました。

4.4.現在の栄養指導

現代の日本は、第二次世界大戦の復興や経済発展を経て、「栄養失調改善」を目的としていた栄養指導から、生活習慣病を予防するための「健康維持」を目的とした栄養指導に変化しつつあります。また、寿命の増加や少子高齢化等に伴い、栄養指導がますます重要になっていきます。その為、この先も栄養指導の重要性は高まると思います。

5.食事バランスガイド8,9,10

食事バランスガイドとは、1日に、「何を」、「どれだけ」食べたらよいかを考える際の参考にしていただけるよう、食事の望ましい組み合わせとおおよその量をイラストでわかりやすく示したものです。食生活の指針を具体的な行動に結びつけるものとして、望ましい食事のとり方やおおよその量をわかりやすくイラストで示したものです。

ヒトの1日の摂取量が多い順に上から「主食」、「副菜」、「主菜」、「牛乳・乳製品」、「果物」となっており、コマの形が使われています。この形のバランスが崩れると倒れてしまいます。また日常生活の中で欠かせない水分を軸とし、人が運動することによりコマを回転させバランスを取ることが必要になります。日々の生活の中でこのコマのバランスを保ち回転させ続けることが必要になります。

6.CAND (Calorie and Nutrition Diary)

CAND (Calorie and Nutrition Diary) とは、株式会社オルトメディコが開発した栄養価日記である。これは食事バランスガイドを基に作成されており、食品を8つの分類に分けています。一番の特徴は食事量を「グー」「チョキ」「パー」で表すことです。このように目安量が分かりやすくまたイメージしやすいです。

CANDは株式会社オルトメディコが食品CROとして臨床試験に携わってきた経験から、試験に参加されるモニター様・現場スタッフの負担を軽減する目的で開発いたしました。その為、従来の食事記録調査と比べてとても扱いやすく簡単になっていると思います。

★論文はこちら★
https://www.cand.life/pdf/cand-paper.pdf

皆様も一度しようしてはいかがでしょうか。
お問い合わせお待ちしております。
https://www.cand.life/#contactFormA

7.脚注