晩春の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
前回に引き続き、今回も海藻を使ったレシピとして、ひじきを使ったものをご紹介したいと思います。

【ほうれん草とひじきの白和え】材料4人前:調理時間:約20分
  • ◆人参…1/3本
  • ◆乾燥ひじき…3g
  • ◆A:だし汁…50ml
  • ◆A:三温糖…大さじ1/2
  • ◆A:しょうゆ…大さじ1/2
  • ◆ほうれん草…1/2束
  • ◆木綿豆腐…1/2丁
  • ◆B:砂糖…小さじ1
  • ◆B:食塩…少々
  • ◆B:すりごま…大さじ1
  1. ① 木綿豆腐は水切りをしておきます。ひじきを水で戻し、人参は千切りにします。
  2. ② 人参とひじきをAの調味料で柔らかくなるまで煮ます。
  3. ③ ほうれん草をゆで、食べやすい大きさに切ります。
  4. ④ 水切りをした木綿豆腐を崩し、②と③をBの調味料で合わせて和えます。

 前回はわかめなどの海藻に含まれるネバネバした多糖類、フコイダンについて紹介しました。
 今回は昆布やわかめと同じ褐藻類の海藻であるひじきに含まれる成分についてご紹介させていただきます。ひじきを含めた海藻類は、ヨウ素やナトリウム、カリウム、カルシウムなどのミネラル分を多く含んでいます。ひじきには、その中でもヨウ素やカルシウムが多く含まれています。

 ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成に必要な成分で、世界的に不足しやすい栄養素です。甲状腺ホルモンは生殖・成長・発達などを制御しており、エネルギー代謝を亢進させるホルモンです。1)海に囲まれた土地に住む日本人は昔からヨウ素が豊富な海藻を食べる習慣がありますが、甲状腺ホルモンを構成するヨウ素は重要な栄養素といえます。
 ヨウ素が慢性的に欠乏すると甲状腺の異常な肥大または過形成を起こし、甲状腺機能が低下します。過剰摂取は甲状腺腫を引き起こす危険性がありますが、毎日恒常的に食していない場合は過剰摂取の影響は受けにくいと考えられます。1)

 ひじきは鉄分が豊富といわれていましたが、2015年に改訂された日本食品標準成分表では鉄分が大幅に減りました。理由は製造に使う釜の多くが鉄製からステンレス製に変わったためです。100gあたり55mgあった鉄分が6.2mgと、9分の1になりました。2)
 鉄分は減りましたが健康に良い食品には変わりありません。乾物なので長期間日持ちし、煮物や炒め物など幅広い用途で使うことのできる万能食品です。様々な料理にプラスしてみてはいかがでしょうか。

 弊社では、新規の食事調査票である「CAND(Calorie and Nutrition Diary)」を開発いたしました。食事調査法のツールとしてはもちろん、栄養素の算出も承っております。下記URL先より、詳細をご覧いただけます。食事調査票としての妥当性・信頼性は査読付き雑誌で確認されておりますので、食事調査法の選択肢の一つとして、十分にご活用いただけます。

 引き続き皆様に満足いただけるような情報を提供させて頂きますので今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

【参考文献】
  • 1) 灘本知憲・仲佐輝子編集,「基礎栄養学(第3版)」,株式会社化学同人,2013年,p114
  • 2) 日本経済新聞,ヒジキ「鉄分の王様」陥落 食品成分表、5年ぶり改訂,2015年
    https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG24H89_U5A221C1CR8000/ (最終閲覧日:4月20日)

この記事をPDFでダウンロードする